喃語
生後4ヶ月ごろから、生後8ヶ月ごろにかけて、赤ちゃんは言葉になる以前のリズミカルで流暢な発音を繰り返します。これを喃語(なんご)と呼ぶそうです。
情動的コミュニケーション
典型的な“左脳型の人間”の私にとって子育ては理屈ではないなと思うことが多々あります。コミュニケーションもその一つです。養育者と子供の喃語の行き来は楽器の共演者との変奏のようだと例えられています。変奏というのは、たとえば、赤ちゃんが発した喃語の語尾の音を少し高くして真似てみると、赤ちゃんは喜んでその変奏(バリュエーション)を真似てくれます。また、声を大きくしたり、テンポを変えても同じように追従しようとします。このやりとりが情動的(※)コミュニケーションの原型であると言われています。言葉の意味を理解しながらコミュニケーションをしているのではなく、情動だけで相手とコミュニケーションをとっているので大人同士のそれとは違うように感じます。
情動というのは、「喜怒哀楽」といった比較的はっきりした性格づけができる「感情」に対して、「快/不快」を基盤にした身体の生理的状態と深く結びついた、その時々の強い心身の変化を意味します。
言語的コミュニケーションがない状態で赤ちゃんとコミュニケーションを取る体験は新鮮であり、どこか懐かしい感覚にもなります。子供が、何をもって快/不快であるかはいまいち分からないことも多々ありますが、嬉しそうであればこちらも嬉しいということを強く感じることができます。コミュニケーションの基本のような気がします。
▼参考文献
『職場の現象学』(露木恵美子,山口一郎, 白桃書房, 2020年)
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