「不便益」という考え方

学び・考え方

「適度な不便さは人間らしさに繋がる」
このように思うことが歳を重ねるごとに増えてきました。そして自分自身が不便さを欲しているように思えます。ちなみにですが、便利でよかったことを「不便益(※):benefit of inconvenience」と呼ぶそうです。

(※)「不便益」
京都大学川上教授を中心に2000年代から考えられてきた概念で、現在大学の垣根を越えた研究会(計測自動制御学会内の不便益システムWG主催)や、一般向けWebサイト(不便益システム研究所)が運営され、自動車の運転支援や観光支援など、様々な分野で実践されている。 不便益システム研究所 http://fuben-eki.jp/

効率性や合理性を追い求めることへの価値の向上は、今後更に加速すると思います。また、この傾向は個人のみならず仕事においても同じことが言えると思います。スノーピーク3代目社長である山井梨沙氏はITやデバイスの進歩により、何でも効率的に目標を達成しなければならないことに課題意識があり、企業として「人間性の回復」を掲げて成長の一途を辿っています。キャンプや自然の中には余白がたくさんあり、それらが現代社会を人間らしく生きる上で、非常に重要ということです。

合理性が進み「便利=益」「不便=害」とデジタルに考えることだけでなく、全体性を加味した物事の捉え方が大事と思います。例えば便利な宅配サービスやネットショッピングにより、外出する機会や、運動する時間、店員さんとの雑談、また地域の方との交流がなくなる等の弊害も考えられると思います。上記のサービスの善し悪しの問題ではなく、サービスを享受する側が、個々の全体性を加味する必要性があると考えています。

川上教授はインタビューの中で「失敗の可能性」は不便益の一部と説明しています。制限をかけることは一定のリスクを取ることは、同時に想像もしていなかった益を手に入れる可能性を生み出します。例えば、下調べをしないで、旅行先のレストランを探すことなどは分かりやすい例だと思います。

「不便益」という概念を個人の生活やサービスに意図的に取り組むことは、難しいと思いますが、方法論的にも面白いアプローチだと思いました。


■参考文献
『パーパス経営』(名和 高司, 東洋経済新報社, 2021年)
『こんな時代にこそ、不便益のススメ(京都大学川上浩司教授 × 研究開発局 野坂泰生)』 博報堂WEBマガジン/ The Center Dot Magazine https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/78653/
『博報堂が、京都大学との共同研究をもとに「不便益」を活用した顧客体験設計の発想支援フレームを開発』 博報堂WEBマガジン/ The Center Dot Magazine https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/60363/


足立 潤哉

足立 潤哉

人材育成を生業としている30代後半の管理人が、純粋に“善い”と感じたものを残していくためのブログです。 活動拠点:茨城県つくば市

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