「ノームコア」という概念

学び・考え方

ノームコアとは「Normal(普通)」と「Hardcore(中核)」を組み合わせた造語で、元々はファッショントレンドとして登場した言葉だそうです。日本語では“究極な普通”などと訳されています。Appleの創業者のスティーブ・ジョブズ氏のスタイルはまさにノームコアなファッションの象徴とも言えます。

「何のブランドを着ているかという自己主張ではなく、どう着こなして自分らしさを魅せているか。自分のアイデンティティと合致したファッション(スタイル)をするか」

派手なファッションに背を向け、着心地がよく、カジュアルでシンプル、質素であることを追求する。
人との違いよりも、人と同じであるという「同一性」をよしとし、「究極の普通」であることを楽しむ。
ファッションには疎いのですが、例えば、「感性の時代」と称された80年代にデザイナーの個性を強く打ち出した「DCブランド」が席巻しました。余談ではありますが、その同時期にアンチテーゼ的に「無印良品」が生まれ、多様化が進んだ時代と言われています。ファッションはその人の内面を映し出すとも表現されますが、「派手=個性」という時代の中においても、実は地味なファッションを介して“個性”が存在してあり、ノームコア的な考えが当時も存在していたのではないかと推測します。

“究極な普通”が支持される背景

ノームコアは現状への決してアンチテーゼではないそうです。着こなしで差異化を図るという概念を知る前、つまり子供時代の「ブランクストレート(白紙状態)でオープンマインド」の自分に戻り「人と共存することを目的としたスタイル」を目指している現れとして捉えることができるようです。

まとめ

普通であることへの善さに気付いたり、共感できる背景には世の中に対して「各々の違和感」が根底にあり、試行錯誤してきた過去があったからではないでしょうか。普通になりたいと望むようになるのは、決して自分の夢や野望を諦めて、全体に寄せているわけではないということです。望み通りにいかない多くの経験の中で、個人の思いにしっかり向き合うと、周囲の人々と共存していきたい、むしろ、そうせざるを得ないことを痛感する局面を何度も経験するからだと私は考えています。始まりはテーゼでも、アンチテーゼでも、はたまた時代の正しさでも何でも構わないと思います。それが静的で普遍的ではなく動的な変化があるものだと認識してあれば。

▼参考文献

『否常識のススメ』(水野誠一, Life Design Books, 2015年)
IM「ファッション イン ジャパン 1945-2020 —流行と社会」
https://www.museum.or.jp/report/102894

足立 潤哉

足立 潤哉

人材育成を生業としている30代後半の管理人が、純粋に“善い”と感じたものを残していくためのブログです。 活動拠点:茨城県つくば市

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